わからないことは聞きましょう

弁護士の小野博道です。ブログというものは初めて書くので、慣れないところもありますが、どうぞお付き合い下さい。

 

さて、わからないことは,その場ですぐに聞いた(尋ねた)ほうがいいと先輩から聞いたことがある。しかし,ことはそう簡単ではない。

 

例えば,お医者さんの診察を受けるときである。

 

私の場合,お医者さんの前に行くとどうも緊張してしまう。

ずいぶん前のことであるが,しゃっくりが長期間止まらずに苦しい思いをしたことがある。

いろいろな人にアドバイスを受けたが止まらず,ある日ついに病院に行った。診察室の前の長椅子に座って待っていると,名前を呼ばれたので,「はいっ」と立ち上がったとたんに,あーら不思議,しゃっくりが止まったのである。

そのことを話すとお医者さんは,しゃっくりというのはそんなもんですと笑っていた。瞬間的に緊張してしゃっくりが止まったのだろうか。

 

最近は,お医者さんもインフォームドコンセント(病状や治療方針の説明をして患者の同意を得ること)を意識して丁寧に説明してくれるし,説明の最後に「何か質問はありませんか」とも尋ねてくれる。

しかし,何か聞くことがあったような気がするなと思いつつ,「はい,ありません」と答えてしまうことがある。皆さんはそのようなことはありませんか。

 

お医者さんの前で緊張してつい遠慮してしまう背景を考えてみると,私の場合,医療の専門家である医師に任せておけばよいのではないかという気持ちもあるし,待合室に患者はたくさん待っているし,医師も早口で忙しそうだし,聞くことが何かあったのだが思い出すのに時間がかかりそうだということもある。

 

しかし,遠慮は避けたいものである。患者や家族の一言が糸口になって,もしかしたら重大な病気の芽が早期に発見されるかもしれないし,対処が早くなるかもしれないのである。

 

そう考えると,小さな疑問でも遠慮せずに医師に尋ねることは実は大切なことのように思われる。聞き漏らさないために,診察を受ける前,あらかじめ質問事項を考えて決めておくのもよいし,自分よりしっかりした者(たいていの場合は妻。待合室で,妻に付き添われたらしい患者を見かけたことが何度もある)に付き添ってもらうのも心強い。

 

医師と患者の関係は,法律的にみると,いわゆる医療契約の当事者である。契約の当事者は対等な関係に立つのが建前である。とはいえ,自分が医者と対等とは到底思えない。患者が医師に対したとき,大きな権威者である医師に自分の健康や生命を握られているので逆らってはいけないような気分がどこかにある。

 

しかし,医師は患者から質問されたからといって患者を差別することなどなく,むしろ患者との対話を通じて信頼関係を築こうとしている,ような気がする。

 

長々となってしまったが,わからないことはあまり遠慮しないで聞いたほうが得だということを言いたいのである。

 

日常生活においても「聞く,尋ねる」に関しては,いろいろ見かける。例えば,先日は,走行中のバスの中で高齢の女性が運転手に何かを尋ねて,バスが停車してからにしてくださいと注意されているのを見かけた(バスの運転手が不親切なわけでなくバス停にバスが停車するととても丁寧に教えてくれる)。

そのほかにも,道を尋ねている人,役所の窓口でいろいろな手続についてあれこれ尋ねている人,中には役所の仕事と関係のないことを尋ねている高齢者(例えば,帽子が見当たらないが届いていないかと尋ねている高齢の弁護士=実は私)もいる。

経験上,たいていの場合とても親切に対応してもらえるように感じる。

 

遠慮せずに聞くことが大切なことは,法律事務所に来たときも同じである。

 

皆さんが,私たちの琴似あかつき法律事務所に相談に訪れたときのことを想定してみよう。私たちは,皆さんが気兼ねなく十分相談できるようにいつも心掛けています。

 

皆さんが弁護士に交渉や訴訟などを依頼する場合の弁護士との関係も,委任契約の当事者という対等な関係に立ちます。依頼する前の相談の段階でも同じです。

 

ですから,皆さんは,弁護士にどんな些細なことでも遠慮しないで聞いて(尋ねて)ください。紛争を解決するためには,皆さんと弁護士との間に信頼関係が築かれることがとても大切です。そのためにはお互いに遠慮なく対話を重ねることが必要になります。

 

弁護士は,事案を十分に把握するため,皆さんに対し,いろいろ事情を遠慮なく尋ねます。皆さんも,疑問が生じたときは遠慮なく弁護士に聞いてください。弁護士も皆さんの問いには十分応えたいと考えています。それから,弁護士に事情を説明するときに,事実を曲げたり隠したりしないことも適切な解決を図るうえでとても大切なことです。

 

以上が本日のテーマでした。

 

新型コロナウイルスによる肺炎が蔓延しそうな雲行きです。皆さんどうぞお気をつけてください。我々も,皆さんにお会いする際にマスクを着けていますが,しばらくの間,ご容赦ください。